Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩
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―――片や『ASTRO』では…
「オマエ、今日どーしたんだ。」
コーヒーを片手に須藤は目の前で作業する男に突っ込んだ。
「なにが?いつもと変わらないでしょ?」
「嘘吐け。」
柏木悠里。
指先の器用は然ることながら、脳裏に一部のブレもなくシャープな完成図を描き造作する彼はいつも感嘆するほど迷いなくスピーディーに物を仕上げる。
その彼が今日に限っては造形半ばの粘土を潰し、造型し潰し…を繰り返している。
余程集中してないらしい。
須藤の素気無いツッコミに悠里は手を止め観念したようにはぁぁぁっと重い溜息を零した。
「実は昨日美久の髪を切ったんだけどね……。あの全体のフォルムに対するあの長さ…前髪の量から隙具合に至るまで、自分は神じゃないかと恐ろしくなるくらいの素晴らしい仕上がり具合だったんだよ。」
「………失敗したんならともかく、上手く切れたんならいいじゃないか。」
どこにそんなオドロオドロシイ声を出す要素があるのかさっぱり分からん。
呆れる須藤に射殺さんばかりの視線が刺さる。
「今頃そんな可愛い状態で不特定多数の人の目に晒されているなんて!僕は気が狂いそうだよ。これまででさえ誰の目にも晒さないように監禁したいくらいなのに…っ」
「……………。」
返す言葉もない。