Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩
内勤の彼は普段カジュアルな服装だが、今日は出社前に取引先へ寄ったためにスーツ姿だ。
砕けた格好でもその美貌に遜色はないが、スーツにするとまた別の魅力が湧く。
悠里は久保塚を見付けて、ニコリと微笑む。
「昨日は態々ファイルを届けてくれて有難う。あの資料がなかったら今日の打ち合わせがとんでもなく面倒な事になるところだったよ。」
これはそのお礼ね、と言って最近久保塚が嵌っているコンビニスイーツが渡された。
久保塚は手の中のコンビニスイーツを眺めてとても複雑な心境になる。
全く持ってこの先輩はズルイ。
文句の一つも言いたい所なのに、こんな風に同性をも惑わす秀麗な笑顔で卒なく媚びを売られたら、それが媚びだと分かっていても水に流す以外に出来なくなるんだから。
ガックリと肩を落とす久保塚に代わって、KY番長・幸村が突っ込む。
「つか、柏木っ。使える後輩の手潰してどーすんだっての。」
仕事が滞ンだろっ、と喚く幸村に悠里の顔が笑割れる。
「ああホント不幸中の幸いだったよね、久保塚君は。あの時もし本当に触れてたら今頃その手、打ち身どころか“そこには無かった”かもだし。」
キラッキラの王子様スマイルで言われるには物騒なセリフに三人は押し黙る。
「ああ、それと…」と悠里が続ける。