Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩
02☩side美久☩
午後になりシフトは店長、麗那さん、私と川端君の四人。
「所でアンタ、新婚生活はどうなのよ。」
客の足取りが減って、ファイルを片手に在庫のチェックをしながら麗那さんが聞いてくる。
その顔はまるで噂好きのおばちゃんみたい。
「アタシも聞きたいわぁ~。」
「あ、俺も。」
背後から降って湧いたように店長と川端君まで……
ニマニマした店長は完璧にオバサンです。
悠里と結婚して早三ヶ月。
同居まで怒涛の勢いだったけど、後は穏やかに暮らしている。
悠里は相変わらずよく気がつくし、優しいし、私の事を労わってくれるし……
「その割にはミクミク最近暗いってか、元気ナイんじゃねっすか?」
「新婚さんで疲れるって言ったらもうアレしかないでしょ~。いやだわぁ、小娘の分際で夜な夜などんな事してんのよぅ。」
店長こそ今どんな想像してるんですかっ!?
身を捩ってはしゃぐ店長にあわあわと反論しかけ、麗那さんのボリュームのある胸に思わず口を噤み、ずーんと落ち込む。
「……そんなんじゃ、ないです。」
「ん?」
「寧ろそんな事無いんですっ」
「…や、二度言われても?」
「そんな事雰囲気すら全っっ然ないんです―――!!」
堪えかねて思わず叫んでしまった。