Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩
「あぁ。ピッタリだね。」
感嘆のように洩れた言葉に私はえっへんと胸を張る。
もう何年、悠里の靴を見立ててると思ってるの。
悠里の好みだけじゃなくて、足の形とかもちゃんと把握してるんだから。
「これにするよ」とあっさり決めてしまった悠里に、店員としても姉としても嬉しい。
…ハズなのに、私は返事を戸惑った。
んーと…なんでだろう。
暫く考え込んで、ようやく答えを見付けた。
「それ、私がプレゼントする!!」
「どうして?お金なら問題ないよ?」
違うと首を振る。
「これはね、“私が”悠里に履いてほしいなって思った靴だから。」
私が勝手に悠里に似合うなって思った靴。
悠里の意志以前に…ましてや店員として選んだわけでもなく。
いっそ言ってしまえば、今回悠里が買う意志を見せなくても私は履いて欲しいと思ったワケで…。
悠里はちょっとだけ黙って私を見詰め、ふいにニコリと笑顔を傾けた。
「…うん。じゃあ、これは姉さんにプレゼントしてもらおう。」
さすが、悠里。
私の言葉足らずな説明でも私の言いたい事をちゃんと把握してくれたみたいで、思わずコッチも笑顔が洩れる。