Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩
エレベーターに乗って連れて行かれた先は三階のアパレル系専門店が並ぶフロア。
「あーん?何なのよアンタ。やっぱり私に文句言いたくて加勢連れて来たわけ?」
エレベーターを降りた所で偶然にも鉢合わせた見知った顔。
木戸さんに言い寄っていた彼女だ。
どうやら目の前にあるのが彼女の勤め先の店舗であるらしい。
ひぇ~。
凄む彼女に私は竦み上がってぷるぷると首を振る。
その横で麗那さんは顎を聳やかし睨み返しているけれど。
暫く白旗宣言状態の私を見下ろしていた彼女は、思い出したように表情を崩した。
「そーいやアンタ、木戸さん振ってあの弟と結婚したんですってね。ふははは。よくやるわ。そこまで来るといっそ勇ましいわね。」
戦友かのようにバシッと私の肩を叩く。
……ぅぅ。
無駄に威嚇されるのは嫌だけど、悪女仲間みたいに思われても…。
「で?二人して鼻息荒くしてこのフロアに何しに乗り込んできたって訳?」
訪ねる彼女に、正真正銘仲間であろう麗那さんは共鳴する所を見出したのか直ぐに警戒を解いてあっさり応えた。
「その弟君が腰抜けだからコッチから攻撃を仕掛けるのよ。というワケでこの子の戦闘服を探しに来たの。」
「ハハン?そういう事ならプロに任せなよ。」
ぅぁ~…
何でこんなコロシアムの戦士同士みたいな会話で通じるの。
あっけにとられている間にもニヤリと笑った彼女に引き摺られて、向かいのテナントの下着専門店に放り込まれた。