Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩



……………え?


私の驚きをさも当然という風に頷いて彼女が続ける。


「貴女はとても可愛らしい方ですもの。それこそ年上とは思えなくらいに。彼が貴女を猫可愛がりしたくなる気持ちも分からなくありませんわ。だから彼は結婚という体裁を作って貴女を手元に留めておく事にした…」


―――だけどそれは“ふり”で、実際には結婚する気なんてないんですのよ。

だって、貴女はとても大切な人だけど、それは愛や恋じゃないんですもの。

この期に及んで結婚届けが受理されていないのが良い証拠ではないですか。と。



真っ白になった頭に流し込まれる言葉の羅列。

色々な疑問がぐるぐると駆け廻るけど一向に考えがまとまらない。

…どういう事なの?

私と悠里は結婚してないの?

だったらあの時書いた婚姻届はどうしたの?
どこに行ったの?
なんだったの?


「失礼ですけれど……彼と夫婦生活は?」


それが何を指すものか知って、私はびくっと跳ねる。

それですべてを悟ったかのように彼女は嗤った。

とても同情的に。



「これで分かって頂けたでしょう?彼にとって貴女がどんな存在なのか。」


私は悠里にとって……

悠里にとって…………




…………………何?


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