Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩
きっと小さな子供が母親といたがるようなもので。
抱きしめたり、キスするような存在は別なんだ。
もしかしたら残業なんて言いながら、綺麗な恋人と会ってたの…?
その人と、私とはしないような事をしたの?
「ハァ………あの腰抜け……。」
唇を噛み締めていた私は前方からぼそっと聞こえた呟きに「へ?」と顔を上げた。
木戸さんが「何でもない。」と言って少し慌てたように缶に口を付ける。
ゴクリとチューハイを嚥下して木戸さんが真っすぐに私を見る。
「で?もしそれが事実だったとしたら柏木はどうしたいんだ。姉弟に戻るか?それとも偽りの夫婦としてでも一緒にいる事を望むか?」
“偽りの夫婦”
私は指の震えを押さえるようにぎゅっと缶を握った。
「私…私は…………」