Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩
04☩side美久☩
☩ ☩ ☩
「んむっ……ちょ…木戸さぁんっ!」
携帯を奪い返そうと手を伸ばす私を木戸さんは腕の分だけ遠ざけて……
って、私が我武者羅に突っ込んで行ったからって、大きな掌で顔面を容赦なくぐいっと押し返すのは、流石に女性相手に失礼ですぅ。
恙無く話を終えたらしい木戸さんは「ほら。」と手を放して携帯を返してくれた。
私は手中に戻ってきた携帯を見下ろし俯く。
マンションをずっと眺めていたから、部屋に灯りが付いたのにも直ぐに気が付いた。
悠里、帰って来たんだ……。
声に出したわけでもないのにその事実は直ぐに木戸さんにも伝わって、携帯を貸せと言われた。
怪訝に思いながらも請われるままに携帯を差し出せば、木戸さんはすぐさま悠里に電話を掛け始めて―――。
どうしよう…
まだ、どうすればいいか分からないのに……。
もうすぐ悠里がここへ来る。