Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩
不意にフワリと温かな物に包まれた。
「き……木戸さん…?」
ど、どうして私いきなり木戸さんに抱きしめられているの!?
「……少しだけこのまま。」
反射的に飛び退こうとして小さな独り事みたいな呟きに動きを止める。
……木戸さん?
悠里じゃない男の人の腕の中。
緊張する………けど。
木戸さんの腕は悠里とは違った温かさと強さで安心する。
でもそれはきっと私にとって―――
「…アイツに幸せにして貰えって言ったろ?オマエがそんなんじゃ俺は心配でいつまでも気になっちまうだろうが。」
木戸さんの抱擁に頼り切っていた私はその言葉にはっと身体を強張らせた。
そのセリフじゃまだ私を……なんて思ってしまう。
ううん。
それが自意識過剰だったとしても数か月前には私の事を彼女にしてくれた人に私ったら無条件で甘えてしまって、どれだけ無神経なんだろう。
謝って木戸さんから離れようとする前に
「なーんてな」
軽い声と共に私を包む温かな物が遠のいた。