Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩
思わず顔を上げれば私の好きになったあの力強い笑顔が私を真っすぐ見詰め返す。
「なぁ柏木。逃げる事はいつでも出来るぞ。それこそ力一杯ぶつかって粉々になってからでも遅くは無い。」
先ほど傍若無人に私の顔面を押し返した掌が今度は頭に置かれてポンポンと優しく叩く。
「苦しくてどうしていいか分かんなくてもまずは逃げずに向き合え。向き合ってみてやっぱり駄目だったらそん時は逃げてきていいから。」
ぐずぐずした私の背中を力強く押す笑顔。
な?と言われればダメな私でもなんとか出来そうな気がしてくるの。
私を好きだと言ってくれた木戸さんには失礼だと思うけど、
私にとって木戸さんって
―――優しくて頼もしいお兄ちゃんみたいな存在なんだよね。
その時唐突に鳴り響いた玄関のチャイムの音。
木戸さんのパワーを貰って俄然前向きになった筈の私の心臓が不整脈を刻みだす。
きゃぁ、悠里もう来たの!?
早いーっ。