Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩
☩ ☩ ☩
人通りもない静かな夜道。
遠い所から車の走る音が聞こえるくらいで、私にも悠里にも言葉はない。
それでも当たり前のように繋がれている手。
次にどちらかが口を開いた時、この手はもう繋がれないかもしれない。
そう思ったら苦しくて、切なくて。
この手を繋いでいられるなら……
一生二人で迷子のようにこの夜道を彷徨い続けたいよ。
それでも現実は、十五分ほどの散歩を終えて我が家に到着する。
悠里は私をリビングのソファーに座らせ、私の為にホットミルクと自分用にコーヒーを運んできた。
向き合わなきゃ。
逃げたくなるような結果だとしても、逃げる前に向き合わなきゃ。
木戸さんの笑顔に折れそうになる気持ちを鼓舞して、悠里を見る。
「私達、結婚してないの?」
テーブルに置かれようとしていたカップがカチリ、と不自然な音を上げた。
悠里の目にほんの少し過った動揺。
やっぱり……本当なんだ。
膝に置いた手をぎゅっと握りしめる。