Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩
私の疑問を読んだみたいに悠里がふっと笑う。
「ごめんね、美久。美久は優しくて、僕に甘いっての知ってるんだ。僕が結婚してなんて駄々捏ねれば、拒否出来ないって分かってた。……強引に手に入れた……けど、やっぱり僕にとって美久の幸せが第一優先なんだよね。」
…どういう事?
「美久にとって僕は弟でしかないって分かってるから…勿論、これから男として意識されるように精一杯努力するつもりだったよ。それで晴れてそういう存在になれたらその時は改めてこれを出しに行こうって思ってた。」
そう言って、悠里が悲しげに睫毛を落とす。
「でも、その前に……美久に本物の王子様が現れたら、ちゃんと解放してあげようって。」
理解出来ないセリフに唖然とする。
「本物の…………王子様?」
「うん。いつか、僕の手を振り切っても一緒にいたいと思えるような人。」
勿論、そんな人が現れても簡単に渡さないけどね。
大いに邪魔するし、地団太踏んで引き留めるし……って。
悠里は笑った後、その証書を胸に押し付けて愛おしそうに溜息を吐いた。
「そしたら一生これは僕の宝物だよ。一瞬でも美久が僕とずっと一緒に居てもイイって約束してくれた証だものね。」
胸の奥がぎゅっとする。
こんな顔をする悠里が私を愛してナイ筈ない。
例えばそれが万が一に恋愛じゃなくても……多分、他の何に注ぐ愛情よりずっと大きいんだから。
強引に結婚まで認めさせたくせに、絶対的な所で私を優先させる。
悠里は何より私を大切に想ってくれている。
―――だけど悠里は誤解してるよ