Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩


「……美久」


熱い吐息みたいに名前を呼んで、キスが降ってくる。

嬉しさを伝えるためだけの物でも、何かを誓う為の物でもない。

今までで一番甘くて熱い口付け。


「…ン……ぁ」


丁寧なキスの合間に手際よくブラウスのボタンが寛げられていて気がつけば胸が露わに。

ピッタリと重なった身体がそれを恥ずかしいと思わせる事もなく。

じれったいと思えるほどの長いキス。




……………。

………長い。

こういうもの?


ぴたり。

不意にキスが止まった。

上体を起こした悠里を怪訝に見上げる。

暫く固まっていた悠里はやがてドサリと私の上に落ちてきた。


「…あーもー…須藤の言った通り、か。」


くぐもった独り事に火照っていた身体が急速に冷めていく。

須藤君は一体何を言ったの?

それより悠里…どうしてキス以上何もしないの?

やっぱり悠里にとって私はお姉ちゃんで、そう言う事をする対象には見られない、の?

怖くてさっきとはまた違った思いで心臓が高鳴る。

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