Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩
「触れたくて触れたくて仕方ないのに、触れられないなんて矛盾してる……」
そう言って私の胸元に顔を埋めてぎゅうぎゅう締め付ける悠里は、逆上がりの練習が上手く行かずに不貞腐れる子供みたいだ。
私としたくないわけじゃ…ないんだよね?
寧ろ、すっごくしたいという思いはハンパなく伝わってくる。
単純な私には、複雑な悠里の妙な拘りというか葛藤というのか、をちゃんと理解してちゃんと解決してあげられる気がしないけども……
これだけは言えるよ。
「私は壊れないよ」
間違いなく気持ちが悠里に届くように、胸元の頭をぎゅっとする。
「私は悠里が思ってるよりずっと強いんだから!私が悠里にとってのガラスの靴なら飾られてるより履いて欲しい。」
え?ガラスの靴?ときょとんとする悠里に、私は大きく頷く。
お気に入りの大切な靴。
履いたら確かに汚れちゃうし草臥れるけど、靴の立場だったら履いて欲しいと思う。
だって靴なんだもん。
ショーケースに入れて飾られるより履いて欲しい。
履かれて大好きな人に喜んでもらいたい。
いつでもどこにでも連れてって。
「そしたら私は悠里に“汚される”んじゃなくて“馴染む”んだよ。」
履かれる度に大好きな人に馴染んで行く自分が誇らしいし、嬉しい。
壊すのが怖くて戸惑ってるなら安心して。
それが悠里の愛なら私はそれ以上の愛で受けとめるんだから!