Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩
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五時三十分。
鍵が開く音を聞きつけて玄関へと足早に向かう。
私、まるで御主人様を待つ忠犬みたい。
そんな事を思って思わず笑いが零れたけれど「おかえりなさい」を言い終える前に駆け寄ってきた悠里に飛びつかれた。
…私以上の忠犬さんがここにいました。
「はぁ。離れてる間寂しさのあまり気が狂うかと思っちゃった。」
大袈裟だなぁ悠里は。
でも私も気が狂うほどじゃないにしても凄く寂しかったワケで、悠里の事をとやかく言えないかもね。
ぎゅうぎゅう抱きついて一頻り頬擦りを堪能した悠里は私をひょいっと抱き上げてリビングへ向かう。
「今日は僕のいない間何してたの?何か変わった事はなかった?誰か来たりしなかった?」
「心配性だなぁ悠里は。何もなかったよ。配達も新聞の勧誘も来なかったし。それで後はえーと…お洗濯してお掃除して…」
取りとめなく今日一日の行動を話していると、不意に私を抱える悠里の腕に力が籠った。
「え゛っ!買い物行ったの?家から出たの?」
「えっ?…う、うん。だってここ二日間家に籠りっきりで冷蔵庫が寂しくなってきてたから夕食のお買い物…」
「ヤダ」と間髪入れず拒否のお言葉が…。