Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩
彼女の姿が消えてほーっ、と緊張が抜ける室内。
「コエェー。柏木の笑顔がトラウマになりそうだ。」
「やり口がえぐいっすよ」
「はぁ…俺はまだ仕事のやり取りがあるんだからあんまり事を荒立ててくれるなよ…」
口口の非難に僕は澄まし顔で肩を竦める。
「なーに言ってんの。あんなの警告で、反撃と言う程のなにもしてないでしょ。」
色々好き勝手してくれた事には釘を刺したけど、なんだかんだと久寿軒さんのお陰で美久との関係がより濃厚になったのは事実だし、ね。
僕にしてみればかなり穏便に済ませたんだけどな。
床にへしゃげる粘土を拾い集める。
「久保塚君、これ欲しくない?」
「って、久寿軒さんの頭部!?幾ら素晴らしい出来でもそんなの要りませんよっ!」
「残念、力作だったんだけどな。」
慄く久保塚君を尻目に僕はクスリと笑って、ゴミと化した粘土を廃棄ボックスに放り込んだ。
「さーて、仕事しよ~と。」
心も晴れやかに作業台へ向かう僕に
(((悪魔めっ!!!)))
三人が心中で叫ぶ声が聞こえるような気がした。