Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩
☩ ☩ ☩
☩side☩美久☩
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バタバタと慌ただしい足音が響いたけど、そんなの全く気にしてる余裕なんてなかった。
受付に知った顔を見付けて声を上げる。
「す、須藤君っ!」
その声に須藤君が少し硬い表情を向けてきた。
「悠里はっ、悠里は大丈夫なのっ?」
「俺も今来たばかりだ。病室はこっちだ。」
仕事が終わって、百貨店の外で悠里と待ち合わせをしていた時、仕事中の筈の麗那さんが慌てた様子で駆け寄って来て悠里が事故に遭ったのだと伝えてくれた。
『今、店に電話が有ったのよ。救急車で搬送されたらしいけど病院は―――…』
会社にほど近い交差点で、左折してきた車に轢かれそうになった人を助けて跳ねられたらしい。
ともかく行くぞ、と歩き出した須藤君の後を追うように小走りに付いて行く。
「ところで…」
廊下を歩きながら須藤君がちらりと後ろに視線を流して小さく会釈をする。
私の後ろには木戸さんが付いて来てくれている。
「あ、えっと彼は木戸さんと言って会社の人で、ここまで送ってくれて、私が心配なカンジだったので付いて来てくれて…」
「管理マネージャをしている木戸と言います。柏木とたまたま立ち話しをしている時に一報を受けまして、柏木があまりにも動揺していたので見るに見かねて同行しました。丁度車で来てましたし。」
私の不甲斐ない紹介をフォローするように木戸さんが卒なく自己紹介する。