Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩
心も体も通じ合って早速出しに行こうとして思い留まったのは、もうすぐ両親の再婚記念日………の前にある二人の出会いの日に出しに行こうって話しあっての事。
それまで強引に事を進めてきた悠里にしては意外な余裕に私もちょっと驚いたけど。
『美久の気持ちが知れたからちょっと落ち着いた、かな。そのくらい待つのはヘーキだよ。』
はにかむみたいに笑って悠里はいっていた。
だからどちらかが結婚に戸惑ってるとか、したくないとか、そんな事情じゃなかったんだけど。
「良かったですわね。取り返しのつかなくなる前で。」
そう言われて私は視線を力無く落とした。
「お姉さま、悠里さんの幸せを願うなら是非御英断下さいませ。」
呼吸してるのに息苦しくて頭がクラクラする。
ぎゅっと握った拳の爪が肌に食い込む痛みに正気を保ちながら久寿軒さんに腕を伸ばした。
彼女の掌へ乗った物を見て、須藤君と木戸さんが息を呑んだのが分かる。
「おいっ、柏木―――」
私は一切の言葉を遮るように深く深く頭を下げた。
「悠里を、宜しくお願いします。絶対…幸せにして下さい。」
私の手から彼女の掌へ渡されたのはこの世で悠里の持つ物と対になって初めて意味を為す物
―――結婚指輪。