Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩
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「……ヨカッタのか?」
申し訳なく思いながらも木戸さんに送ってもらう車の中。
運転をしながら木戸さんが訪ねてきた。
私の結論に、満足げに微笑んだ久寿軒さん。
それを見た須藤君は
『俺は納得しない。……きっと貴女の思惑通りにはならない。』
まるで予言のように言い置いて憮然とした雰囲気を醸し出したままその場を去った。
そして私達も帰宅の途に。
気遣わしげな視線を頬に感じて私は目線を落としたまま小さく笑って見せた。
だけど引きつり笑いにしかならなくて…失敗。
「……よく、言ってたんです。苦しいって。」
「弟…、悠里クンがか?」
ちょっと驚いたように聞き返す木戸さんに私はコクリと頷いた。
悠里が久寿軒さんの言うように義理の姉弟で求め合う事に苦悩してたかどうかは分からないけれど。
私を愛する事が苦しいんだって、言っていた。
『時々、美久を好き過ぎて自分でも狂ってるんじゃないかって思うくらいだよ。欠片程も美久を誰にも渡したくなくていっそこの手で壊しちゃおうかって思うくらい。でもそんな事したらきっと僕も生きていられないね。』
そんな事を囁く悠里はとても愛おしそうな切なそうな瞳で微笑む。