Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩

☩ ☩ ☩

はぁ…思いの外遅くなっちゃったな。

松葉杖ながらも足早に帰路を進み、部屋の前で一度動きを止め、少し上ずった呼吸を落ちつけた。


「只今帰りました。」


徐にドアを開け、ドクンと胸が騒ぐ。


「あ。お帰り悠里。」


遅番だったらしい姉さんが丁度バスルームから出てきた所で、ふにゃっと笑顔を向けてきた。


「遅かったね。お仕事忙しいの?」


それに僕はああ、だか、はぁ、だか愚にも付かない返事をしながら、視線と意識はその手元に釘付けになる。


「……どうかした?」

「や、あのっ………あぁっ。ちょっ、そんな乱暴な手つきで拭いたら痛んじゃいますよ。折角綺麗な髪なのに。」

「へ?髪?」


きょとんとした姉さんはしかしそう言う事には無頓着なタイプらしくあはは~と軽く笑ってタオルでガシガシと拭く。

ぁわわ…痛むってば!



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