Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩
「細かいなぁ悠里は。大丈夫だって。でも面倒臭いから今度バッサリ切っちゃおうかな~。」
「そんな勿体ない!面倒くさいなら僕が乾かしますから―――……」
思わずそんな事を口走って、未だワシワシと髪を拭いている腕を掴んだ。
―――途端、
ビクリと震えた身体が、驚いたように後ろへ退いた。
強張った表情に僕の方こそ動きが止まる。
はっとした姉さんは徐に平静を取り繕って笑って見せる。
「今日はもう遅いしぱぱっと乾かして寝ちゃおうっと。悠里も早く寝なきゃね。」
じゃあ、お先に、と言って身を翻す姉さんはまるで逃げるようで…。
だから姉さんは知らない。
その後ろ姿を見詰めながら僕がジンと熱く痺れる掌を握りしめていた事なんて。