Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩
04☩それってもはやプロポーズ!?☩
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「おはようございまーす。」
私が張り切ってバックヤードへ入ると、川端クンが「おはよーございまーす。」と挨拶し返してきた。
バックをロッカーに入れて社員証を付けて、エプロンは付けても付けなくてもどっちでもいいんだけど、今日は運搬の仕事も多そうだから付けとこう。
あ。タイムカード押さなくっちゃ…。
せかせか身支度を整えながら、ふと昨日の事が蘇る。
昨日…
私に覆いかぶさる艶っぽい弟の顔を思い出し、かーっと体が熱くなる。
って、落ちついて、私!!
昨日のは何かの間違いなんだから!!
深酒が過ぎたのか悠里は朝になってもぐっすり熟睡していた。
仕事はお休みだろうし『お仕事行ってきます』という置手紙と朝ごはんだけ置いて、起こさないで出てきた。
だって、どんな顔してイイのか…。
そ、そんなことより、今日はセール最終でもある週末なんだから。
ガンバって仕事しなくっちゃ!!
気持ちも新たかに姿見の前でヨシッ!!と喝を入れている私の後ろにいつの間にやら川端君が…。
名探偵かのように顎をなぞり、後ろから姿見に映る私を覗きこんでいる。
なぁに?
「別にセンスをとやかく言うワケじゃないっすケド、本日はシャツのボタン上までキッチリ閉めといた方がいいんじゃねっすか?」
「ええ~…これオープンカラーだよ?川端君センスな――――ひょわぁぁ。」
指摘に口を尖らせ、改めて鏡を見た私は素っ頓狂な悲鳴を上げシャツの胸元を掻き合わせた。
え?
今、チラッと赤いのが見えて…
こ、これって、これって
……ドラマとか映画でしか見た事ないけど…。
昨日の記憶がまざまざと脳裏に浮かんでまた全身火達磨に…。