Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩
最近、木戸さんは悠里の事で落ち込んでる私を気遣って色々と誘ってくれる。
今日は夕食を食べて、その後近くの高台の公園まで夜景を見に連れてってくれて。
希望も無くただ沈むだけの心も、そんな穏やかで楽しい時間に触れてちょっとだけ楽になる。
ホント木戸さんには申し訳ないけど、感謝してもしきれない。
「あんな近くにあんな穴場があるなんて知らなかったなぁ。今度悠里にも教えてあげるね。デートが盛り上がる事間違いナ―――ひゃぁ!?」
キラキラの夜景とお星様のムード満点の景色を思い浮かべて、思っても無い事をぺらぺら言っていた私はいきなり強い力で引かれて、
間抜けな声出たーっ。
て、
…………へ?
気が付いたらソファーに倒れていて、視界には普段あんまりマジマジ見詰める事の無い天井
―――と、悠里。
え?
…えぇっ!?
何でいきなり悠里に押し倒されてるの!?
それよりなんか悠里怒ってる?
今まで拗ねても怒ってる顔なんて見た事なくて、記憶を失ってからも不安そうな顔はあったけど怒った事は無くて…。
感情を削ぎ落した無表情は整い過ぎてる故か、凄く怖い。
悠里が初めて怖い。
「何やってたんですか?」
……へ?
だからご飯食べて夜景……
「―――なんて、聞きたくも無いですけど。」
私が答える前にそう吐き捨てた唇が私の口を塞いだ。