Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩
「んんっ………ゆう、りっ…!」
荒々しいキスに渾身の力で抵抗する。
久寿軒さんと約束したから。
悠里の幸せの為に自分で決めた事だから。
なんてのは盾前で、突然豹変した悠里が分からなくてちょっと怖い。
もがいても私を拘束する力はビクリとも揺るがなくて、今更ながらに悠里が男の人なのだと認識させられる。
“弟”は、ずっと私に甘すぎるほど甘くて、過保護なくらい大切に手加減してくれてたんだって、今更ながらに思い知る。
だとしたら、手加減なく私を求めてくる目の前の人は弟なんかじゃなく、ただ一人の男の人なんだ。
そう思ったらドックンと胸が鋭く疼いた。
「んっ…悠里、……やぁ…!」
覚えている筈も無いのに悠里は容易く私の快楽を暴いて行く。
ダメだと叫ぶ理性とは裏腹に身体は与えられる快楽に従順で。
姉弟に戻ると決めたのに…。
久寿軒さんとも約束したのに…。
何より悠里がいきなり豹変した訳も分からなくて、弟じゃない悠里が怖い。
色々な思いがごちゃまぜになって、目じりから溢れた雫が頬に伝った。
「……ごめんね、姉さん。」
それを舌で優しく拭い囁く悠里は、それでも行為を止めようとする気配すら感じさせない。
「例え姉さんを苦しめる事になってももう抑止なんて効きません。姉さんが他の誰かの物になるくらいならいっそこの手で壊します。……だから姉さんも潔く観念して下さいね。」
壊スカラ、覚悟シテ。
その言葉が私の記憶の蓋をこじ開ける。
目の前に居るのは私の好きな人。
私を狂おしいくらい愛して求めてくれる人。