Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩
☩04☩I know、愛 now☩
☩ ☩ ☩
手も足も動かない重い重い身体。
何故って、私が人形だから。
自分の意志では身じろぎ一つ適わなくても、とても幸せな気分。
だって私の持ち主は、大好きな“あの子”なんだから。
宝物を扱うみたいに私を抱き上げ、優しく髪を梳く。
それから壊れモノに触れるみたいに優しくそっと―――……
「ふふ……お姫様がキスで目覚めると言うのは本当なんですね。」
唇に触れたリアルな感触にぼんやりと目を開けると、ドール(私)の持ち主……
じゃない。
悠里がいた。
Tシャツにチノパンにショルダーバックを斜め掛けしたいつもの出勤スタイル。
「土曜日なのに仕事なんてホントツイテない…。本当は休みたいんですけど、迂闊に休んだら須藤に何言われるか分からないですしね。」
ため息交じりの悠里のぼやきを聞きながら何気に起き上がろうとして、力が入らずに断念。
…だよね。
私人形だもん。
…って、あれ?
……これ夢?
若干困惑している私の耳元にあやすようなキスと甘い囁き。
「姉さんの仕事場には先ほど休むって連絡しておきましたから寝てて大丈夫ですよ。」
もう…また勝手に人のお休み取って…
そんな事を思いつつ、お休みと聞いてホッとした私の意識は早々と眠りの世界に落ちていく。
落ちていく意識の中、つい…っと私の手首を指がなぞる感触がした。