Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩
不安に考え込む美久を余所に、不意に悠里はパッと表情を輝かせて、嬉しそうにある人物に抱きついた。
って、
木戸さん――――っ!?
美久愕然。
いきなり降って湧いた木戸さんに飛びついた悠里はうっとりとした顔で彼を見詰める。
「不安になってる時はそっと支えてくれて、悲しんでいる時は優しく慰めてくれて。だけど甘やかすばかりじゃなくて、悪い事をしたら叱ってくれて、僕の理想のお兄さんなんです。僕はこんなお兄ちゃんが欲しかったんです。」
うぅ…そりゃ私お姉ちゃんというにはへなちょこだけどもさ…。
そりゃ、木戸さんは確かにステキなお兄ちゃんだけどもさ…。
美久が狼狽しながら内心であれこれ思ってるうちに、二人は手を取り合って微笑み合っていた。
「そうか。俺も悠里君の事は本当の弟のようで何だかほっとけないと思っていたんだ。」
「本当ですかっ!?ではどうか僕のお兄ちゃんになって下さい。」
「ああ。勿論だ。」
そこで悠里は思い出したように美久を振り返った。
満面の笑みで。
「と言うワケで、僕はたった今、姉さんの弟は辞めて彼の弟になります。」
ええええっ!?!?