Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩

支度を終えて私は介添え人さんに断って控室を抜けだした。

向かった先は―――


「悠里。」

「美久。」


新郎の控室にひょっこと顔を覗かせると、待ってたといわんばかりに悠里が眩しい程の笑顔で迎えてくれた。


「いつも可愛いですけど……今日はとびきり可愛いですね。」


本物の王子様みたいに私の手を取って中に誘いながら悠里が私を見詰めてはにかんだみたいに微笑む。

そんな事を言う悠里も白いタキシードが似合っていていつもの百倍カッコイイの。


「ああ…こんな可愛い美久をみんなに見せるなんて耐えられない……。いっそこのまま帰りたい。」

「それはダメ。」

「………。」


ガックリと肩を落とす悠里を宥めて椅子に座らせる。


「今からとびっきり幸せになれる魔法をかけてあげるんだから。」


じゃーん、と取り出す白い靴。

結婚式の衣装で、靴だけは私が用意して履かせてあげる事にしたの。

だって悠里の靴はずっと私が見立てて来たんだもの。

ガラスの靴じゃないのはザンネンだけど。

この靴に私は悠里を幸せにしてあげるって誓うんだ。


どうか、どうか、悠里が幸せでありますように。

私は彼を幸せに出来ますように。



< 306 / 333 >

この作品をシェア

pagetop