Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩
「まさか俺を忘れたとは言わさないぞ!!ここで会ったが百年目。積年の恨み晴らさでおくべきかっ!!」
「スミマセン。忘れました。」
いや、これは冗談でなく。
いっそ思い出したくても思い出せないのだから仕方ない。
悠里の返事に男は逆上した。
「フザケルナッ!!俺は一日たりとも貴様への恨みを忘れた事がないってのに、そのオマエは俺を覚えてナイだと!?よもや人違い等とは言わせないぞ!!」
「や、人違いでしょう。」
だってこの人、トワって言ったし。
まだぎゃんぎゃん騒いでいる男が駆け寄ってきた会場スタッフに諌められているのを横目に、悠里は我関せず、と式場へ向かった。
☩ ☩ ☩
式は粛々と執り行われた。
開かれた扉の先には、眩い緑と青い空。
私達を祝福してくれる見知った人達の笑顔。
目の前に伸びた赤い絨毯の先には
私を見詰めて幸せそうに微笑んでくれる私の愛おしい人。
みんなが見守る中、緊張一杯のパパと一歩、一歩、と進んで行く。
悠里の所まで来てパパの腕にあった私の手が悠里に託される。
う゛………直ぐにでも飛びついてキスされそうな気配。
そんな悠里を目で制して、段取り通りに雛壇まで進む。
そして司会者の進行に従って真新しい婚姻届に二人でサインして、それを二人で手に持って会場に示せば、大きな拍手が贈られた。