Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩
「え?えっ?でも木戸さんもう毎日会えなくなっちゃうのに…」
「だから今のトコロ家は近いし、会おうと思えば会える。」
「でもっ、いつか本社に戻るって…」
「後二年くらいは大丈夫だ。その間に結婚も選択に入れて欲しいとは思ってるが。」
「でもっ、あのっ…」
口籠る私に「他になんだ?」と言いたげな木戸さん。
「い、いきなり…なんで私、ですか?」
そりゃ、ちょっと会話できただけで私特別!?なんて舞い上がっちゃったりしたけど、所詮そんなの妄想の域で、実際に特別扱いされた覚えなんかない。
ジィっと見詰めていると木戸さんはちょっと赤くなった顔で体裁悪そうに目を反らした。
「…別にいきなりってコトはナイ。管轄でココに来てた時から気になってた。だが、あからさまな依怙贔屓もどうかと思ったし、切欠も無くて、ズルズル今になったんだ。」
そう言って顔を戻した木戸さんは私に視線を戻した。
「イマドキ驚くほど真っすぐで純粋で。仕事にも一生験命で…。そう言うトコロに惹かれるのと同時に、俺がその無垢な所を守ってやりたいって思った。一緒にいて欲しいって思ったんだよ。」
強い眼差し。
驚くほど真っすぐで純粋なのは木戸さんの方だよ。
誠実な人。
私も、木戸さんの事が好きです。
飛び出しかかった言葉は喉で引っかかった。