Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩

会場を見渡し私が思う事と言ったら……

みんな悠里を見過ぎだよっ!!

たった今、目の前で、旦那様になったというのに。

あ~、あの辺のお嬢様達なんか目がハートだし。

もう、悠里ってばモテ過ぎ!

そりゃ悠里に愛されてる自信はあるけれど、これはやっぱりちょっと面白くなーい。

久寿軒さんみたいな情熱的でちょっと強引な人がいきなり現れて、いきなり悠里を浚ってっちゃったり………なーんてね。


バッタ―――ン!!!


そうそう、例えばこんな風に…………

へ?

祝福モードそっちのけに、突然荒々しく開け放たれた扉へ視線を向けみんな唖然とした。


「俺から逃げようったってそうはいかないぞ!永久悠里!!」


そう言って悠里に詰め寄ったのは男の人。

掻っ攫われるにしても想定外だよっ!!

悠里はいきり立つ男性に迷惑そうに眉を顰めて「シツコイ人ですね」とぼやく。


「悠里、この人知り合いなの?」

「いえ、さっきそこで絡まれました。例によって覚えもないんですけどきっと人違いですよ。だってこの人さっきからトワって言ってますもの。」


じゃ、やっぱりこの人の勘違いなのかな。

悠里の交友関係はあまり知らないけれど、私にも心当たりは無い。

目は血走っちゃってるけれど、顔立ちはとても整ったイケメン。

悠里より華奢な体型で、サラサラな亜麻色の髪の毛。

彼もまた悠里に負けず劣らず童話に出てくる王子様みたい。

こんな人なら一度会ったら覚えてると思うんだけどな。

そんな疑問を一掃するように「はーい」と元気に上がった声。

笑子ママだ。



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