Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩

「いやねぇ~。永久ってのは再婚する前の私の苗字よ。ちなみに彼の事も覚えてるわ。仕事が忙しくて私あんまり学校行事とか出られなかったから詳しく知ってるワケじゃないんだけど。転校する前の学校で悠里のクラスメイトだった子よね。」

「御無沙汰致しましたマダム。おっしゃる通りボクは彼のスクールメイトだった二階堂彗と申します。」


途端キリリと丁寧な挨拶をする二階堂さん。

胸に手を当てて軽く頭を下げる姿は本物の王子様みたいに様になっている。


「二階堂君って当時からイケメンだし、しかもお金持ちだし!PTAの間で目の保養人気高かったのよね~♪」


舞踏会で王子様にダンスを誘われるお姫様みたいな構図にキャッキャとはしゃぐ笑子ママ。

…隣のパパが可愛そうな程うろたえてます。


「で?そのクラスメートさんが今頃、何のご用でしょうか?」


小首を傾げる悠里に二階堂さんがキッと鋭い視線を向ける。


「何の御用だと!?貴様、俺に対する侮辱と非礼を忘れたとは言わさないぞ!!貴様の所為で俺がどんな屈辱を味わってきたか…………っ!!」


………悠里、一体この人に何をしたの。


「ゴメンナサイ。忘れました。」


恍けているともとれる悠里の謝罪に、血管が切れてしまうんじゃないかと言うくらい逆上する二階堂さん。

あわわ……

私は慌てて二人の間に割って入った。


「あ、あのっ!ホントなんです!悠里、事故で記憶喪失になって、昔の事は全然覚えてないんです。」

「は?」


一瞬ぽかんとした二階堂さんは次の瞬間雄たけびを上げた。


「そんな事知るか――――――――っ!!」


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