Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩
「は?永久?」と呟いた新婦さんは悠里に視線を移し目を見開いた。
「えっ、まさか本当に永久君!?ヤダァ、転校して以来じゃない。益々男前に磨きがかかったわねぇ。」
「それは光栄です。花井さんも相変わらずお元気そうですネ。」
ニッコリほほ笑む悠里に「きゃ~。相変わらず王子様っ」とはしゃぐ花井さん。
そしてその傍らでヤサグレル二階堂さん。
私としては見慣れた光景で特に感慨もないけれど。
悠里との再会に一頻りミーハー熱を燃焼させたらしい花井さんは徐に二階堂さんを睨んだ。
「ったく!!アンタってホント馬鹿なの!?偶然にも永久君に会っていきなりトチ狂ったんでしょ。直ぐに感情的になってムキになって子供かっての!だから少しは永久君見習いなさいって言うのよ!!」
「なっ…!どうせ俺は何をやってもコイツに敵わないさ!!そんなにこの男がイイならこの男と結婚すればイイではないかっ!」
「またそれを言うか、己は!拗ねてる暇があるなら少しは変わる努力をしなさいよねっ!」
激しく言い合う二人を唖然と眺めていると、横から腕が伸びてきてむぎゅーっと抱きつかれた。
抱きついてきたのは言わずもがな悠里なのだけど。
「んもー。二階堂君程じゃないにしても、美久にも少しは妬いてほしーな。」
「へ?……妬くってどの辺りに?」
「美久の知らないクラスメートの娘との再会で、しかもその子は僕にキャーキャー言ってんだよ?」
そうだけど……でも。
「私は悠里の愛情を知ってるよ。私はその愛情で一杯愛されてるって知ってるもん。」