Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩

それでも二階堂さんには極上に甘い愛の告白なんだろう。

端正な顔立ちが目に見えて赤くなった。

少し前に粉々に砕け散った自信もそれと同時に復活したよう……


「ふ……、ふん!ま、永久に敵わずとも、俺も王子様と呼ばれるに相応しい人物ではあるのだからな。君が惚れるのも当然と言えば当然か。」


おズボン濡らした姿で何言ってんの……という感じがしなくもないけれど。

「直ぐ調子に乗るなっ!」と花井さんに蹴られる二階堂さん。

最後に二人はコチラが申し訳なく思う程に謝って式へと戻っていった。







☩ ☩ ☩


喉元過ぎればなんとやら。

浚われた花嫁を探すのも大宝探しゲームの余興の如くにみんな受け入れてくれて、再開された披露宴でも思いの外盛り上がってくれた。

披露宴は立食パーティー。

悠里と共に祝福をしてくれる人に挨拶して、シャンパンを注いで会場を回る。

一頻り挨拶して回った辺りで須藤君がやってきた。


「改めて、おめでとう。」


そう言ってくれた須藤君にお礼を言ってシャンパングラスを満たすけれど、どうやらその祝福の言葉は私達の結婚と言うより、悠里の記憶が戻った事に対する言葉だったよう。


「いつまでもグズグズ思い出さなかったくせに、なんだかんだと結局ピンチのネーチャンを救うために思い出すとか。全くオマエらしいな。」

「当然でしょ。美久のためならなんだって出来るんだよ、僕は。」


須藤君のシャンパングラスに自分のグラスをコツリと当てて、ふふっと笑って見せる悠里。

綺麗だけどどこか誇らしげで、まるで毒と知っていても近づかずにはいられない花のように蠢惑的。




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