Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩
「……と、思ってはみたものの結局記憶の無い僕であろうと美久を求めて捕まえちゃった訳だし。もはや打つ手は皆無だね。こうなった以上は僕も腹を括ろう、とね。」
そんな話を聞いて須藤は悠里に姉の幸せを願って身を引くなんてまともな選択肢があったのか、と内心白目を剥いていた。
ややあって、溜息を一つ。
「安心しろ。あのネーチャンはオマエが思ってる程ヤワじゃない。オマエの愛がいかほどか知らんが、オマエの愛以上の愛で受けとめるさ。」
例えば、悠里が一人残されると分かっていて、自分一人が壊れるなんて選択肢は絶対にない。
仮に悠里が二人で破滅する道を選んだとしても、必ず二人で生き抜く道に連れ戻す。
悠里を愛する美久は何にも勝って強い。
「……だと良いな。」
ふふっと睫毛を落として笑った悠里はとても甘く、されどどこかアンニュイでそれ故に蠢惑的で
――――策謀を巡らす悪代官みたいだ
と、須藤は辟易と溜息を零した。