Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩
「って、ミクミクじゃん!!」
キキィ、と自転車のブレーキ音と一緒に素っ頓狂な声がして私はビックリして顔を上げた。
「川端君…っ」
「何やってんすか、こんなトコロでぼんやり座って。つか、見えちゃいけないモン見えたかと思ってマジビビったじゃないっすか。」
「え、えーと。ちょっと疲れちゃって休憩を…。そう言う川端君は今まで何をしてたの。」
泣きそうになっていたことを知られたくなくてとっさに笑顔で誤魔化した。
「俺?俺は買い物っすよ。」
自転車の篭に入れられたレジ袋の中身は見事にお酒で一杯。
「今から店長ン家でセールお疲れ様会っす。俺、店長と呑みダチなんっすよね~。」
「へぇ、店長のお家で…………って。えぇっ!!」
オカマな店長さんと夜通し二人でお酒を酌み交わすなんて、なんて意味深。
川端君、実はそう言う方向のヒトだったの!?
ぐっと川端君の眉間に皺が寄った。
「何勘違いしてるんスか、失礼な。大体、思い出してもみて下さいよ。店長はラブラブな彼氏さんとアツアツ同棲中。いつも三人デスよ。尤も“彼”は呑まないっすけどね。」
「あ。……そ、そうなんだぁ。」
あはは?と白々しい笑いで勘違いを誤魔化してみる。
そうでした。
店長の彼氏とやらを見たコトは無いけども、いつも店長が店で耳タコな程彼氏のノロケを炸裂させている。