Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩


「もしもし。何かあった?」


聞きながら不図、帰り際の光景を思い出す。

悠里…今まだ麗那さんと一緒なのかな。

だからなんだというわけじゃないんだけど、気になってしまう。

無意識に電話の向こう側の音に集中していると、悠里の声が聞こえてきた。


『美久、今どこにいるの?』

「へ?」


想定外の質問に思わず間抜けな声を洩らし、なんとなく咄嗟に「家だよね。」とトボケてしまった。


『そっか。無事に帰りついたんだね、ヨカッタ。今日遅番だったものね。』

「え?あ、……うん!そ、そうなの。」


そか、私が遅番だったから悠里は心配してくれたんだ。

それなのに私ってば嘘吐いちゃって、ちょっと罪悪感―――


『で?僕今美久の家にいるんだけど、姿が見えないのはどうしたわけなのかな。透明人間にでもなっちゃった?』

「………………………。」

万事休す。


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