Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩
「さぁ、荷物持ってきて。ご挨拶して帰ろうか。」
そう言われてはっとして、私は居心地のよい悠里の腕から逃れる。
「か、帰らない!」
「姉さん?」
「私自立するの!!一人前の女なの!!だから弟にはお世話にならないの!!」
言った!!
毅然と胸を張ってそう言いきれば、悠里も納得して―――
ニコッとほほ笑んだ。
「そう。それはイイ心がけだね。だけど自立した女性なら尚の事、職場の人にご迷惑かけちゃいけないんじゃないかな。姉さんの言う大人の女性はお酒飲んでご迷惑かける事?」
「ぅ゛……………」
それは確かに。
思わず丸めこまれそうになってはっとする。
違った。
自立の目的は弟離れなんだから。
ともかく悠里を姉から解放しなくっちゃ―――……
「わ、私っ、木戸さんに告白されて、お付き合いする事になったの!」
だからもう弟の世話なんていらないの。
そんなつもりで言って―――だけど心中で何を期待してたんだろう。
「そう!それはヨカッタ。彼は姉さんの本当の王子様だったんだね。」
間髪入れず悠里の顔に浮かんだ笑顔
我が事にように喜ぶ笑顔には片平の憂いもなく、何故か足元から崩れるような感覚がした。