Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩
悠里に対する意地とかそんなんじゃなくて、
木戸さんが好きだと思ったから。
余裕のナイ態度が不器用にも真っすぐに私を好きだという気持ちをちゃんと伝えてくる。
木戸さん、好き。
彼はきっと全力で私を幸せにしてくれる。
私もそんな木戸さんを幸せにしてあげたい。
「しゃっ!!」
いきなり拳を作って叫んだ木戸さんの声に驚いて飛び跳ねた。
「木戸さ~ん。うっさいっすよ。表まで聞こえてんじゃないっすかぁ。」
「う゛、スマン。…てか川端はさっさと仕事に入れよ。」
川端君は若干呆れ気味に「はいはい」と言ってバックヤードを出て行った。
それを見送って木戸さんがクルリと私に顔を戻す。
「やべ…凄い嬉しい。これから宜しくな。」
照れたようなはにかむような笑顔。
余裕があって大人っぽい木戸さんしか知らない私にとっては初めての表情。
無邪気な分だけあどけなくて、
…か、可愛いかもっ!!
胸がきゅぅんと唸る。
私は火照ってしまった頬を隠すように両手で覆って「はい」と頷くのが精一杯だった。