Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩


「あらまぁ。頑張るわね木戸さんも。」


少しだけ茶化すようにそう言った麗那さんをチラリと見る。


「あの…麗那さんは……」


ん?と向けられた視線に言葉を呑みこみ慌てて首を振った。


“麗那さんはあれからも悠里と会ってるの?”

これまで聞こうかと思って聞かないでいた言葉。

……別に悪い事じゃないんだし、ぺろっと聞いちゃってもイイと思うのよ?

だけど何でだろう。

何となく聞きづらくて………。



従業員入り口で麗那さんと別れて夜道に視線を巡らせる。

目的の相手は思いの外近くにいて苦もなく視界に飛び込んできた。



「木戸さんっ。ゴメンナサイ。お待たせしました。」


逸る気持ちを押さえて駆け寄れば、木戸さんは弄っていた携帯から顔を上げふっと笑顔を浮かべた。


「構わない。終わるまで待つって言ったのは俺だからな。寧ろ……仕事で疲れてるの分かっていて迎えに行くとか無理言ってゴメンな。」


少し自嘲気味に「なんかストーカーっぽいか?俺は…」とぼやく木戸さんに私はぷるぷると首を振った。

木戸さんがストーカーなら、それを喜んでいる私はもっと変態だと思います。

ちょっとの時間でも会いたいと思ってくれるのが嬉しい。

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