Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩


一人またモンモンと沈思黙考に夢中になっていた私は名前を呼ばれて慌てて覚醒する。

視線が合って、木戸さんがすっと長身を屈める。

……なんだろ?

よっぽど人に聞かれたくない内緒話かな。

周囲に誰か聞き耳を立てている人がいるとも思えないケド。

少し疑問に思いつつも大人しく動きを止めて、話を待つ――――


「あれ?姉さん。こんなタイミングで会うなんて奇遇だね。」

「悠里っ?」


闇から聞こえた声にパッと振り返れば、買い物袋を手にした悠里がヒラヒラと手を振っていた。


「あれ?今日来るって言ってたっけ?」


首を傾げると、悠里は長い睫毛を伏せた。


「ん、ここ数日食事もままならないほど仕事が忙しくて…久しぶりに姉さんのオムライスが食べたいなぁと思って食材買って押し掛けちゃったんだけど……やっぱ迷惑だったかな。」

「え!そうなの?大丈夫だよ!作ってあげる。」

「でもやっぱり…」

「駄目。疲れた時はちゃんとご飯たべなきゃ!!」


「じゃ。おねだりしてもイイ?」と聞かれて私は力強く頷いた。

えへへ。

やっぱりお姉さんだもん。

弟に頼られるとちょっと嬉しい。

それが普段、何でも出来る弟だから尚更だ。


頑張って美味しいオムライス作ってあげよっと♪

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