Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩
悠里の視線が私から木戸さんに移る。
あ…しまった。
悠里の出現で木戸さんのコトすっかり忘れてた。
「ここまで姉を送っていただいて有難うございました。」
「…………いや。彼氏だし。君に礼を言われる事じゃないけどな。」
笑顔の悠里に対し木戸さんもニコリと笑顔で応える。
けど…あれ?
なんか笑顔が微妙に黒い気が……
「「木戸さん、何か怒ってます?」」
悠里と私はタイミング良くこてっと首を傾げた。
「………………いや?別に?」
そうなの?でも…
ジィっと見ていると木戸さんはふっと表情を崩し、これはちゃんとした笑顔を私に向けた。
「それより柏木、料理出来るんだな。」
「え?あ、はいっ!悠里の方が断然手際がイイし美味しいんですけどね。」
へへっと照れ笑いすると、木戸さんは少し何かを考える素振りをして徐に相好を崩した。
「美久。」
「は………はひっ!!」
初めて木戸さんの口から飛び出した自分の名前に驚いて声翻ったぁ~。
ぷっと木戸さんが笑う。
「いや、弟クンも同じ名前だし。紛らわしいからこの際名前で呼んでもいいかなってな。……構わないだろ?」
チラリと木戸さんの視線が悠里に向く。
「弟に許可を取るものではないと思いますけど?」
「まぁな。」
悠里の言葉にさらりと同意する木戸さん。