Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩
はっと覚醒すればいつの間にか私の部屋のダイニングで、小さな二人掛けのテーブルの向かいで悠里がもぐもぐとオムライスを租借していた。
「え?え?え?いつの間に…!?……というか私、オムライス作った記憶ナイ。」
「うん。幾ら呼んでもトリップしたままだったから僕が作っちゃった。」
ガーン。
疲れてる悠里に美味しいご飯作ってあげようと思ったのに…失敗。
「この時間だと美久いつも食べないから、美久の分は作らなかったけど…少しならイイでしょ。」
ほら、あーん。とまたスプーンを差し出されて、項垂れていた私はまた条件反射みたいにパクついた。
途端口の中に広がったふんわりとろとろのオムライスの味に思わず顔が緩む。
「おいひい。…えへへ、幸せ~。」
「ふふ。美久が幸せで僕も幸せ。」
悠里もくたりと顔を緩ませる。
初めてできたステキな彼氏。
ほっぺにちゅー。
優しい弟。
美味しいオムライス。
大好きなモノに囲まれて、これ以上の幸せなんてナイと思うの。
あぁ、私って今とっても幸せ者だ。
だから気付かなかったんだ。
ガラスの靴はとっても繊細―――取扱には細心の注意を払わなきゃ壊れてしまうんだって。
この幸せはガラス細工のように脆く幻想のようなもの。