Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩
現在仁王立ちしている美女は名取麗那さんと言って、私より一つ年上の職場の先輩。
たった一つしか違わないなんて思えないほど頼もしく、仕事も出来る。
私にとってはお姉さんみたいに頼れる存在…時々頼もし過ぎる、とは思うけど。
震えあがる私をオ二のように見下ろしていた麗那さんは、そこに来てようやく私が盾にしている存在に気付いたよう。
眉を持ち上げ、不躾にもジロジロと観察し出した。
「あ。麗那さん、会うのは初めてでしたよね。彼がいつも話してる―――」
「ハジメマシテ。美久の弟の悠里です。姉がいつもお世話になっております。」
すかさず悠里がニコリと笑顔を浮かべて見せた。
「…へーえ。本当にいたんだ。」
「………えぇ!!麗那さん、ヒドイ。私がいつも悠里の話する時ヌルイ反応しかしてくれなかったのって、悠里の存在を疑って!?」
「男にちょっと優しくされただけで王子様に出会っただの、運命の赤い糸を見ただの言う娘の言葉なんか鵜呑みに出来ますか。」
…うぅ、そういわれると否定出来ない。
「それが器量良し、性格良し、仕事も出来る、家事も得意なんて出来過ぎた男なら尚更。寂しい美久の妄想だと思ったとして、私の所為じゃない。」
妄想って!!
麗那さんの中で私ってばとんだイタイ子じゃないですか。
「しかもアンタの弟とか。神様だってそんなお茶目なDNA配分絶対しないと思ったし。」
……麗那さんの毒舌で私は今、仮病じゃなく倒れてしまいそうです。