Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩
08☩お姫様の本音☩
☩ ☩ ☩
「…柏木?」
早番で入った日、仕事は四時で終了。
たっぷり時間も取れるし今日の夕食何にしようかなぁ~、なんてご機嫌でまだ人の多い繁華街を歩いて帰宅の途中。
擦れ違った人の少し戸惑った声に足を止めて振り返った。
「えっ……もしかして、そ、相馬先輩!?」
「お~。やっぱ柏木かぁ。久しぶりだな!」
にかっと笑う相馬先輩に胸がずきゅんと甘酸っぱく痺れる。
爽やかな見た目通り明るくて、気さくな人。
社会人になってスーツなんて来てるケド、全然変わらない。
私が高校時代に好きだった人。
先輩は柔らかな物腰の割に男気があって、モテるだろうに気取ったトコロがなくて、人気者だった。
「柏木は仕事この辺かぁ~?てか、早いな。休み?」
「靴屋の販売店員で、今日は早番だったんです。」
「そか。俺は得意先へ営業の帰りだ。会社は隣の市だけどな。」
ほらこんな風に。
数年のブランクなんか飛び越えて相変わらずに接してくれるの。