Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩
でもじゃぁ、仕事帰りに二人を見かけたのは、その時なんだ。
内緒で会ってたのは事実だけど、私が思っていたのとは違っていて、少しだけホッとしている自分がいた。
「でもじゃ…麗那さんお見合いしたんですか?」
「まさか。そこはちゃんと代役立てて貰ったわよ。」
麗那さんが望んだのは、お見合い相手を蹴倒せるような恋人役。
適当に見栄えが効いて、それなりに将来性がある男。
両親に恋人としてハッタリがかませるレベルの男なら別に相手は悠里じゃなくてもよかったらしい。
「…そう言う意味ではアンタの弟が用意した代役は適任だったわね。」
満足したはずなのに何故か渋い麗那さんの表情に私は首を傾げる。
一体悠里は誰を代役に立てたんだろ。
…気になるトコロだけど。
「まぁそんなワケで契約は成立。私に協力してもらった代わりにアンタの弟の要望を叶えてあげたの。」
悠里の要望…
悠里は一体何をお願いしたの…?
思い余って訪ねようとした矢先、麗那さんがすっと立ち上がった。
「アンタはもう分かってんでしょ?」
そう言った麗那さんは最後に「ゴチソウサマ~」と言って潔く伝票を置いて仕事へ戻って行った。