Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩
突拍子もナイ質問に目をパチパチさせる。
「富豪の娘って言ったって所詮王宮とは格が違うから大変だったんじゃないかなぁ。何より…相手は王子様だもんね。幾ら自分を愛してくれてるっていっても、国民のアイドルなわけで、みんなにちやほやされる王子様を間近で見続けるのって結構辛いよ。」
……悠里って凄いリアリストなのかな。
童話にもこんなに徹底したリアルを求めるなんて…。
「でも…私はやっぱり幸せだったと思う!だって大好きな人の一番近くに居られたんだもん。」
そりゃ、綺麗な女性達に言い寄られている王子様を見たらちょっとは嫉妬しちゃうかもだけど。
王宮でお姫様の仕事も大変そうだけど。…しきたりとか?
だけど愛する王子様が一緒に居てくれれば大丈夫。
二人っきりの時の王子様とか、自分だけにしか見せない姿とか表情があって、そういうのを見る度に嬉しいと思うし、愛おしいと思うし、幸せだなって思うと思うの。
名前も知らない国民の一人なんかじゃない。
好きな人に名前を呼ばれて、愛おしげな瞳に見詰められて…
そんなことが許される傍に居られる事を幸せだと思ったハズだよ。
そしたら苦しい事も悲しい事も頑張って乗り越えようって気になったんじゃないかな。
「そう思うなら……」
持っていたお皿を置いて悠里がゆっくりと私に近づく。
その顔は何か苦痛を耐えるように苦しそうで。
悠里は私の前に立って、私の目を見て、言った。
「僕と結婚して。」