Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩
そんなやり取りに素知らぬ顔でコーヒーを啜っていた須藤が、気がつけばじっと僕を見据えていて、徐に口を開いた。
「オマエ、靴どうした。」
は?くつ?と首を傾げる二人。
「出る前と違ってるだろ。」
「君はそういうの一々と気付くよね。僕のストーカーなのかな?」
そう返した所で、ノックがあって女子社員が入ってきた。
「柏木さん、お疲れ様ですぅ。コーヒーお持ちしたんですけど如何ですか。」
ここって好きな時に勝手に飲み物取ってくるようになっていて、本来『お茶汲み』の仕事なんてないんだけどね。
「有難うございます。」
にっこり笑顔で受け取れば、女子社員は顔を赤らめてぼうっと立ち尽くす。
はぁ…嫌んなっちゃうほど分かり易いよねぇ。
「で?靴がどーしたって?」
空気を読まない切り込み番長・幸村さんがそう切り出して、はっと我に返った女子社員が僕の足元を見て嬌声を上げる。
「その靴ステキ。柏木さんの雰囲気にピッタリですぅ。」
「ふふ。有難う。実は僕も一目で気に入っちゃったんですよね。」
手放しの賛辞に思わず笑みを零せば、女子社員ばかりか久保塚君までもがほんのりと頬を染めて動揺する。
「ぅわ、うっかり俺までトキメイテしまった…っ!ウエポンスマイル、ヤバ過ぎですっ」
…ヤバいのは僕の笑顔より君だと思うよ。