Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩

須藤がぼそっと言う。


「オマエ。迂闊に愛相を振りまくもんじゃないぞ。」

「愛相じゃなくて人として一般レベルの気遣いでしょう。」

「オマエの場合下心のナイ気遣いも誤解の種だってのをもっと自覚したほうがいいと思うがな。」


須藤の視線を辿ってちらっと後ろを見ると、大分遠くなった場所にコッチを見詰めたまままだ立ち尽くす白井さんの姿が見えた。

須藤がくっと皮肉げに口端を上げる。


「男の免疫にも乏しそうなあの手の女にオマエみたいな上等な男が優しくしてみろ。ショック死するぞ。」


それは須藤なりの冗談なのだろうけど、言いたい事は理解する。

つまり迂闊な優しさを振りまいて気を持たせるような事はするな、と。

…言われても、親切にも満たない単なる気遣いでしょうに。


「はぁ…気を付けるよ。」


全く面倒くさいな、と思いつつ頷いておいた。


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