Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩
出会ったばかりの頃はまだヨカッタな。
僕はまだ小学生だったし、美久も気を使って早く帰って来てくれて、当たり前みたいに一緒にいられた。
そんな幸せな日がずっと続くと思っていたのに。
美久は二つの歳の差分、少しだけ早く成長する。
『あのねっ、好きな人が出来たの!』
無邪気に残酷にそう打ち明けてくれた美久に、足元から崩れるような感覚がした。
やだよ。
美久の特別は僕じゃなきゃ…っ!
心が千切れそうな程痛かったのに、口から出たのは心とはまるで正反対の言葉。
『頑張って!上手く行くといいね。』
そんな事全然思ってナイくせに、嘘吐き。
でも、言えなかったんだよ。
とても嬉しそうな美久を見てたら反対なんて出来なかった。
だって僕は世界の誰が敵になっても美久の見方なんだもの。
その僕が反対なんかしたらきっと美久は困惑して悲しんでしまうでしょ?
何より…美久に我儘な子供だなんて幻滅されたくなくて。
恋人じゃなくても美久の一番安心出来る一番近い存在でありたい。
あの時は本気でそう思ったんだよ。
いや、今でも思ってる。
でも僕は土壇場で自分の欲望に寝返った。