Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩
これでも告白は結構され慣れていて、パターンは様々ながらなんとなく流れが読める。
親身な顔をして美久の恋愛相談を聞きながら
(そろそろ告白かな…。)
というタイミングで邪魔をした。
知り合いを使って彼を好きだという女の子を見付けだして、積極的にアピールするように焚きつけた。
『彼、なんか君に気があるみたいだよ?』なんて。
実際は美久に心を傾けてた訳だけど、そんな事は知らない。
女の子の積極的なアプローチに彼はまんまと心を掴まれ、そうして美久との恋愛は始まる事もなく立ち消える。
そんな調子で何度美久の恋愛を潰しただろう。
最初の頃こそ、失恋で泣き暮れる美久の姿に罪悪感で心を痛めたけれど、今はもう何も感じない。
否…失恋の度に僕に縋りついて泣く美久に歓喜と愉悦さえ感じている。
誰が美久の元を離れても僕は決して離れないから。
美久には僕しかいないでしょ?
そう教えこむみたいに彼女を甘やかす。
「まぁ、恋愛を邪魔するのはさておき、オマエが姉ちゃんを大切にしてんのは事実だけどな。オマエはそれでイイのか。」
「イイのか、とは?」
「どんだけ大事にしてやったって弟はあくまで弟だって事だ。そのうち『男』に掻っ攫われるぞ。」
お猪口に添えていた指に力が入る。
中を呑みほして、尖った目を隣に流す。
「今日の君はやけに絡むね。」